自宅を売却する際には、様々な方法がありますが、その中でもリースバックという手段が注目を集めています。
リースバックは自宅を売却しながらそのまま住み続けることができるというメリットがありますが、デメリットも存在します。
今回は不動産業界で18年勤務し現在もリースバック取引を中心に売買を行う私が、リースバックを検討する上で注意すべきデメリットについて解説します。
本授業のレベルsection
今日はリースバックの「デメリット」についてです。
リースバックには検討する前に知っておきたいデメリットがいくつかあるぞ
メリットだけでなくデメリットも知ることで、リースバック取引に関する理解を深めておきたいですね!
リースバックとは?
リースバックは、自宅を所有する人が、自宅を不動産会社(リースバック会社)などに売却して、その不動産会社と賃貸借契約を結び、自宅を賃借することで、現金を得ることができる不動産取引の方法です。
具体的には、リースバックの取引は以下のような流れで進みます。
自宅をリースバックする場合は、まず不動産会社などと相談し、リースバック時の自宅の価値を査定してもらいます。査定額が売却価格となります。売買価格と合わせて家賃も決定します。
売却価格・家賃が決まったら、不動産会社がその金額で自宅を購入します。このとき、自宅の所有権は不動産会社に移ります。
不動産会社が自宅を購入した後、自宅を所有していた人は、その自宅を賃借するため、賃貸借契約を結びます。通常、賃貸借契約の期間は、数年から10年程度ですが、期間を決めることなく住み続ける契約も可能です。
自宅を賃借した場合は、定期的に家賃を支払う必要があります。家賃は、売却価格や自宅の価値に基づいて算出されるため、通常の家賃よりも高くなる場合があります。
リースバックが検討されるケース
急ぎで現金が必要
リースバックは引っ越しをすることなく自宅を売却し、比較的短期間で現金を手に入れることができるため、急いで現金が必要な人に適しています。
例えば、病気や急な出費などで急に現金が必要になった場合などが挙げられます。
住宅ローンの負担を減らしたい
リースバックを検討する人の中には、現在の住宅ローンの負担を減らしたいと考える人もいます。
住宅ローンは35年といった長期で返済期間を設定しますが、返済途中で家庭状況が変わったり転職や退職などによって入手う面が大きく変化することもあります。
収入が減少することで、これまで問題なかった毎月払い・ボーナス払いが負担となるケースがあります。
自宅を所有している場合は、住宅ローンの支払いに加えて固定資産税や修繕金等も負担する必要がありますが、賃貸として住むことによって、家賃のみに支払いにすることができ家計の負担を抑えることも可能です。
引越しせずに現金を得たい場合
自宅から引越しすることは、家族や生活環境に大きな影響を与えることがあります。
しかし、一時的に現金が必要な場合には、リースバックによる売却が有効な方法となるかもしれません。
引越しが難しい理由としては以下のような事情が挙げられます。
・高齢者で体力的に引越しが難しい。
・家族に要介護者がいる。
・子供を学校区を変えたくない。
自宅を手放さずに、現金調達をすることができるため、家族や生活環境に大きな変化を与えることなく、資金調達が可能です。
生活費の足しにしたい場合
リースバックは、自宅を売却することで一時的な資金調達をする方法の一つです。以下のようなケースで利用されています。
・子供が大学に進学するタイミングで、一時的な生活費の足しにしたい。
・老後の生活費が年金だけでは足りない。
・仕事が不安定で収入が減ってしまった。
もし生活費が不足している場合や、急な出費が必要な場合には、リースバックが有効な選択肢となるかもしれません。
離婚
リースバックは離婚を理由に利用されるケースも多くなっています。
例えば、夫婦が共同で所有している住宅を離婚に伴い売却する場合、売却代金を二人で分割する必要があるため、自宅を売却する必要があります。
しかし、子供が小学生等ですぐに自宅の引越しが難しい場合もあります。
このような場合に、リースバックを利用することで、夫婦どちらかが住み続けることができます。
不動産管理に手間やコストをかけたくない場合
不動産を所有することは、税金や管理費用などのコストや手間がかかることがあります。
特に建物は老朽化に伴い修繕に関わる費用も高くなるため、所有者としての負担が増えていく傾向にあります。
不動産の所有に伴う問題を避けたい場合には、リースバックによる売却を検討してみることも一つの手です。
リースバックのデメリット
リースバックは、資金に困っている人や特別な事情で引越しが難しい人にとってはメリットのある売却方法です。
一方でリースバックには、以下のようなデメリットがあることも知っておく必要があります。
①売買金額が低い
リースバック契約では、自宅を売却するわけですが、その際に得られる売却代金が、一般的な不動産売買に比べて低くなるのが一般的です。
通常の不動産売買とは異なり、リースバック契約では、不動産会社による直接買い取りとなります。
リースバック契約は、不動産会社が将来的に再販することを前提としたものであり、そのために買取価格を抑える必要があります。
このため、一般的な不動産売買よりも、リースバック契約での売却代金が低くなるのです。
具体的には、通常の売却相場の約70%前後がリースバックの売買相場となっています。例えば、3,000万円で売買されているマンションの場合、リースバックでの売却金額は2,000万円前後となることが多くなっています。
買取価格が低くなることで、住宅ローンの残債が完済できない場合があります。
②家賃が市場より高い場合がある
リースバックは家賃が相場に比べて高くなることがある、というデメリットがあります。
家賃が高くなる原因としては、売却した不動産会社の価値が高かった場合に、売却金額に連動した家賃設定となるため家賃も高く設定されることが考えられます。
不動産会社が自宅の価値を高く評価することは悪いことではありませんが、結果的に評価が高いことで高額の家賃が設定され、それが住人にとって負担となってしまうことがあります。
家賃を抑えるための解決方法としては、売買金額を下げるという方法があります。
③家賃の支払合計が高額になる
リースバックで、長期的に借り続ける場合、家賃の合計支払額が高額になるというデメリットもあります。
住宅ローンの場合は、完済すれば毎月の支払いは無くなり、完済後は支出が減ることになりますが、家賃は住み続ける限り無くなることはありません。
リースバック後の賃貸期間が長くなるほど、支払う家賃の総額も増えていくことになります。
例えば、リースバックによって売買代金を2,000万円得た例を考えています。
月額家賃が10万円のリースバック契約の場合、年間の家賃支払い額は120万円になります。
賃貸で住み続けて16年経過する頃には、売却で得た資金2,000万円が底をつく計算になります。
リースバック契約は、一時的な現金化には適しているかもしれませんが、長期的に借り続ける場合には、家賃の合計支払額が高額になる可能性があることを認識しておく必要があります。
せっかく売却して得たお金も時間をかけて無くなるのは寂しいですね
実際は、毎月の生活費に足しにすることが多く、計画的に使えば上記のような期間で現金が無くなることはないぞ
④リースバック契約期間中は自由に家の改装やリフォームができない
リースバック契約期間中は、契約書で定められた範囲内でしか自宅を改装やリフォームすることができません。
リースバック契約によって自宅の所有権がリースバック会社に移転するため、賃借人は自由に改装やリフォームを行うことができなくなるためです。
壁紙を変える場合でも、所有者であるリースバック会社への確認が必要となるぞ
⑤買戻し価格が高い
リースバックで自宅を売却し、その後買戻しをする場合、売却時に決まった価格よりも高い買戻し価格が設定されます。
リースバック会社は買戻しに応じることによって、利益を確保するための買戻し価格の設定を行うためです。
リースバック会社側が確保する利益の他に不動産売買に伴う諸経費が掛かっているため、一般的には買戻し価格は売却金額の110%~130%の範囲内で設定されることが多くなっています。
つまり、リースバック会社は売主から市場価格よりも低い価格で自宅を購入し、その後高く売却することで事業を行っているということになります。
リースバックは不動産を安く買い、高く売るという点がイメージが悪く批判も多い
それでも、引越しをせずに今すぐ現金が必要な人にとっては悪いサービスではないですね
リースバックのリスク
リースバック契約は、賃貸契約の形をとるため、賃貸契約によって生じるリスクも存在することを理解しておく必要があります。
リースバック契約は通常、数年から十数年といった長期にわたるものが多いため、将来的な支払いリスクも存在します。
将来的に貸主が保有し続けることが困難になった場合、所有者である貸主が不動産を手放すことを余儀なくされる可能性もあります。
家庭状況が変わり家賃の支払いが難しくなった場合には、引越しせざるを得ない状況になることもあり、結果的にリースバックで自宅を安く手放しただけだということにもなる可能性もあります。
さらに、リースバック契約には様々な条件があり、契約内容によっては貸主にとって不利益な条件が含まれる場合があります。
以上のように、リースバックにはリスクや不利益も存在することがあります。リースバックを検討する際には、契約内容やリスクについて充分に理解し、慎重に検討することが必要です。
リースバックで長期で住み続けたい場合は、賃借人の権利が守られる「普通借家契約」を選ぶことが重要だぞ
普通借家契約の詳しい解説は以下の授業を確認してくださいね
リースバック以外の選択肢
リースバックを検討する場合は、その他の方法も比較しながら慎重に判断することが重要です。
ここでは、リースバックと並行して比較検討される方法を紹介します。
通常売却
リースバックは通常相場の70%前後の売買金額となってしますため、売却後の手残り金額も少なります。
引越しすることが可能であれば、通常売却という選択が最も手残り資金を多く残せる方法となります。
売却後の手残り資金で新たな自宅を購入するという選択肢もありますが、多くの場合賃貸住宅への住み替えとなります。
賃貸住宅への住み替えの場合は、これまでの自宅とは異なる広さ・立地・周辺環境となるため、自分が納得できる賃貸住宅があるのかを事前に調査する必要があります。
不動産担保ローン
自宅を担保に融資を組むことで、資金を調達するという方法もあります。
融資を組める額は、自宅の評価額によって異なります。
毎月の支払いは元本+利息となります。
住宅ローンのような低金利かつ長期で組むことは難しいため、毎月の返済額が大きくなることもあります。
一時的な資金を確保するためであれば有効ですが、生活費が足りない状況が続く場合、結果的には支払いが難しくなり自宅を手放すことになる可能性があります。
リバースモーゲージ
自宅を担保に融資を組む、という点では不動産担保ローンと同じですが、リバースモーゲージの特徴は返済中の毎月の支払いが金利のみとなる点です。
不動産担保ローンの毎月の支払いが元本+利息である点と比較すると、リバースモーゲージの毎月の負担は大幅に少なくなります。
借入期間中の支払いが金利のみということは、借入金額は減らないことになります。
銀行は債務者が亡くなった後に、担保に入れた自宅を売却することで融資額の回収を行います。そのため、融資可能額は自宅の不動産担保評価額となります。
リバースモーゲージは債務者が亡くなるまで融資を回収することができず、将来的な不動産価格の低下や変動を考慮する必要があるため、融資可能額が低くなる傾向があります。
リースバックはどこで相談するのが良いか
リースバックの検討方法は大きく以下の3つの手段があります。
①リースバック専門の不動産仲介会社に相談する。
②リースバック会社に直接問い合わせる。
③大手不動産仲介会社に相談する。
この中でも、最もおすすめな方法は「①リースバック専門の不動産中外会社に相談する」方法です。
理由は、リースバックによる自宅の売却は売却後の賃貸期間中にも契約の効力が及ぶ取引で特殊な売却方法となるからです。
リースバックは通常売却と比べて、慎重に検討を進める必要がありますが、初めてリースバックを検討する人にとっては、何を注意して検討するべきかが分かりません。
リースバック専門の不動産仲介会社であれば、豊富な取引経験から検討者が気を付けるポイントやリースバック会社選びまでサポートを得られることで取引リスクを減らすことができます。
リースバック専門の不動産仲介会社の特徴的な3つのサービス
リースバックを行っている会社は数多くあり、どこの会社の条件が良いかは査定をしてみるまで分かりません。
リースバック専門の不動産仲介会社であれば、提携しているリースバック会社に同時に査定を依頼することができるため、効率的に各社のリースバック査定を集めることができます。
一括査定の良い点は、一度の依頼で複数の査定を集められる点ですが、デメリットもあります。
それは、数多くの業者から連絡が入ることで対応が手間になる点です。
リースバック専門の不動産仲介会社では、一括査定の窓口担当者が1人となるので、やり取りが手間になることはありません。
担当者が各社の査定と纏めて提示してくれるので比較検討もし易いと言えます。
不動産仲介会社として、リースバック会社との条件交渉や売買・決済手続きまで行います。
リースバック会社の買主はほどんどの場合は、不動産会社等となります。リースバック取引に長けた業者(買主)を相手に交渉を行う場合は、リースバックに関する知識や交渉力が求められます。
リースバックを専門とする不動産仲介会社であれば、リースバック会社と上手く交渉を行い、希望の条件に近づけられる可能性も高いと言えます。
契約手続きにおいても、リースバック専門の不動産仲介会社が入ることで、売主・買主共に不利益にならない様に公平の視点で取引を行うため、後々のトラブルになるリスクも少なくなります。
おすすめのリースバック専門の不動産仲介会社
リースバック専門の不動産仲介会社は、全国でも数多くありますが、中でもおすすめなのが株式会社応援宣言です。
株式会社応援宣言はリースバック一括査定サービスとして「家まもルーノ」というサイトを運営しており、こちらのサービスを通じてリースバックの査定依頼をすることができます。
会社名は馴染みがない人も多いですが、株式会社応援宣言は他のリースバック専門不動産会社と比較して、以下の点でお勧めすることができます。
①リースバック一括査定業界のパイオニアで取引件数が多い
②提携するリースバック取引会社数が多い
③関東・関西に拠点があり対応エリアが広い
リースバック専門の不動産仲介会社
・リースバック一括査定のパイオニア
・担当者は1人で負担が少ない!
・全国47都道府県の対応が可能
・査定依頼は完全無料!
まとめ
最後にリースバックデメリットについてのまとめです。
リースバックには以下のデメリットがあります。
・リースバックによって得られる売却金額が相場に比べて低くなる。
・長期的に家賃を支払い続けた場合、総支払額が高額になることがある。
・リースバック契約中は自由に家を改築することが出来ない。
しかし、リースバックは住み慣れた家を手放したくない人や、緊急の資金が必要な人にとっては、リースバックは選択肢の一つとなるでしょう。
リースバックを検討する場合は、他の手段も検討しながら慎重にリスクを考慮し、将来的に返済能力が確保できるかどうか、将来的にどのような状況になる可能性があるかを考慮して、よく検討する必要があります。